アヒマアは、タヒチの島々でのお祝いの席で必ずといっていいほど登場します。伝統的な土かまどのことで、準備にはかなりの手間がかかります。かまどとはいえ実際には地面に開いた穴のことで、真っ赤に焼けた火山石を敷き詰めて、食材を蒸し焼きにします。石は前日の晩から火で焼いて温めておきます。

ルルツ島では土かまどはウムアイと呼ばれ、結婚式などの特別な日には島をあげて準備に取り掛かります。ボラボラ島やモーレア島、フアヒネ島、マウピティ島などその他の島でも、アヒマアの伝統は今もなお盛んに行われています。アヒマアとは昔のタヒチ語であり、「アヒ」は「火」、「マア」は「食べ物」を意味します。アヒマアは伝統的に、盛大な祝いの席でのごちそうを用意するために使われていました。宣教師たちが毎週日曜に家族で特別な食事をするという考えをもたらしたことで、ほとんどの家庭にアヒマアのかまどが普及しました。今日では、誕生日や結婚式、その他の大切な行事など、特別な日を祝うときにアヒマアが使用されます。アヒマアのかまどで調理した食材は、煙で燻されたスモーキーな味がほんのり感じられ、ジューシーなおいしさが特徴です。

アヒマアの準備

アヒマア(土かまど)を準備するのに最も大切なことは、忍耐力です。食事の前日から大きな穴を掘り、その中にココナツの殻、小枝や枝木を敷き詰めます。そして、その上に大きな火山石をいくつも置き、敷き詰めた木に火をつけます。翌朝までに石は真っ赤になるほど熱くなります。それから食材をバナナの葉で包み、焼き石の上に乗せ、かまどを閉じます。食材に火が通るまでさらに数時間かかります。鶏肉、豚肉、魚、パンノキ、タロイモ、フェイ(バナナ)、さつまいもなど、手間はかかりますが、その分驚くほどジューシーに仕上がります。

美食家や食通たちにとって、かまどを開けるのは一番のお楽しみの瞬間。土かまどからさまざまな食材が混ぜ合わさった香りが漂ってくると、突然、何時間もかけて準備したことがすべて報われた気分になります。アヒマアの土かまどで調理してできるのが、ポリネシアの伝統料理であるマアタヒチ。エイア(海で取れた新鮮な魚)やプア・オビリ(野生の豚)に、ウル(パンノキ)、タロイモ、フェイ(バナナ)、ファファ(ほうれん草)などを添えた豪勢な料理です。通常、デザートには土かまどで調理されたポエ(フェイやパパイヤなどの果物とキャッサバ粉で作る甘みの強いプリン)が出され、ココナツミルクをかけていただきます。

アヒマアの準備は前日から始まり、調理自体には4時間ほどかかります。環境にやさしい土かまどでの調理法に合わせ、プラウ(ハイビスカスの一種)の葉で作ったお皿、ココナツを半分にしたボウル、竹でできたコップなど、同じく環境にやさしい食器を使います。

タヒチの島々に滞在中は、ぜひ次の料理をお試しください。ポワソン・クリュ・オ・レ・ド・ココ、プーレ・ファファ(鶏肉とほうれん草のココナツミルク煮)、バナナ・ポエ、ファラオア・ウト(ココナツブレッドのようなパン)。冒険したい気分のあなたには、有名なファファルがおすすめ。発酵した海水に魚を漬け込んだ、強烈な匂いを放つ料理です。匂いはきついですが、味はとてもおいしいのでご安心ください!

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