フランス領ポリネシアの列島では、あちらこちらのラグーンでカヌーを目にすることでしょう。アウトリガーカヌーを製作する伝統は、先祖から受け継いだ技術と現代の素材を融合させる形で、今でも続いています。アウトリガーカヌーは漁業だけでなく移動手段として、またハワイキヌイ・ヴァアのようなスポーツ大会で使用されています。スピードを重視して作られた1人乗り用のV1ヴァアも、太平洋を渡ることができる航海用カヌーも、その起源はタヒチの島々の古代の歴史と文化にあります。
千年受け継がれてきた伝統
ポリネシアンカヌーの起源
「ヴァア」と呼ばれるカヌー
ポリネシアンカヌーのことをタヒチ語で「ヴァア(va’a)」と言います。伝統的な構造は、1本のアウトリガー(船体から突き出した浮き)を繋ぐ2本の支柱が船体に付いているため、カヌーを安定させて、より速く水を切ることができます。
航海用のアウトリガーカヌーは、約2000年前に古代ポリネシア人が太平洋を渡る際に使われました。現代の双胴船(カタマラン)の先祖といえる双胴カヌー「ヴァア・タイエ」は、複数の家族が東南アジアを出発し、平和な楽園を求めて太平洋を渡る際に、家畜や持ち物と一緒に運びました。
現在のラグーンを突き進む小型で軽量なファイバーグラス製カヌーは、スポーツ大会、釣り、島々の間を行き来する際に使用されています。リゾートホテルに宿泊する観光客は、ヴァアで朝食を水上バンガローまで届けてもらうことができます。
ヴァアの構造
古代ポリネシア人のカヌーは、長い木の幹をくり抜いて作られ、帆は叩いたタコノキの葉を女性たちが縫い合わせたものでした。小ぶりのカヌーは、現在もポリネシアで使われているパドルのように、先に少し角度を付けたブレードを持つ木製のパドルで漕ぎます。
カヌー作りは、カヌーで航海する人々を守るために神に使える高貴な司教が監修していた聖なる芸術でした。航海用の双胴カヌーは、現在の双胴船の先祖と言われています。
刺激を受けよう
さまざまなアクティビティ&体験
ナビゲーターの肌に
ヴァーア入門
アウトリガーカヌーは、カヤックや他のカヌーとは漕ぎ方がかなり違いますが、一度コツをつかめば、波の上でサーフィンをしているような疾走感でスリルを味わえます。ヴァアは、タヒチの島々に昔から伝わる文化の1つで、モトゥ(小島)からモトゥへの移動手段として便利なだけでなく、レジャーとしてラグーンを巡る手段にもなっています。
もっと楽しもう
航海とスポーツの融合「ハワイキヌイ・ヴァア」
ヴァアはタヒチの島々の国民的スポーツで、タヒチの人たちは世界大会でメダルを何個も獲得しており、ヴァアに秀でていることが分かります。毎年、ソシエテ諸島で開催されるハワイキヌイ・ヴァアは最も有名なヴァアレースで、6人乗りカヌー(V6)で競います。他にもタヒチ島を巡るタヒチ・ヌイ・ヴァア、ハワイのオアフ島とモロカイ島間を競うモロカイ・ホエという2つの大きなV6レースがあり、モロカイ・ホエではタヒチのチームが過去20年間で16回も優勝しています。
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