世界中で見ることができるウミガメですが、タヒチの島々では特別な意味を持っています。ウミガメはタヒチ語で「honu(ホヌ)」と呼ばれ、フランス領ポリネシアでは聖なる動物として崇拝されています。しかし、悲惨なことに、この美しく害のない生き物が今、絶滅の危機に瀕しているのです。
世界のウミガメには、アオウミガメ、アカウミガメ、タイマイ、オサガメ、ケンプヒメウミガメ、ヒメウミガメ、ヒラタウミガメの7つの種類があります。フランス領ポリネシアの海には、このうち5種類のウミガメがいます。ポリネシアの人たちは、ウミガメを聖なる動物として崇拝しており、ウミガメが来世への道を表し、魂を永遠の安らぎへと導く助けをすると考えています。タヒチの島々で最もよく見かけるウミガメは、アオウミガメとタイマイの2種類です。ツアモツ諸島のランギロア島やティケハウ島、モーレア島やボラボラ島のラグーンで、スキューバダイビングやシュノーケリングをすると、ほぼ確実に会えるはずです。
聖なるウミガメ
ウミガメは何世紀もの間、ポリネシアでは大切なシンボルとされており、タヒチ語で「honu(ホヌ)」と呼ばれ、幸運と長寿の象徴となっています。知恵、平和、保護、自然の均衡を表す動物でもあり、海やサンゴ礁の門番として、健全かつ生態系バランスの象徴です。また、ウミガメはタヒチの島々の聖なる力であるマナの重要な要素なのです。タヒチの神話では、亡くなった人の魂に安らぎをもたらすとされています。
ウミガメの姿は、タヒチの島々の手工芸品、タトゥー、伝説に登場します。ウミガメの模様は、タパ布、彫像や彫刻に使用しているほか、タトゥーのデザインにも、刻む人の守護と幸運の象徴、環境へのリスペクトとして用いられています。ディズニー映画『モアナと伝説の海』では、ウミガメがキャラクターとして登場します。タヒチの島々のラグーンでダイビングやシュノーケリングをしているときにウミガメに遭遇すると、みな感動し、魅了されます。とてもすばらしい生き物であるウミガメの保護に役立つことをしたいなら、テ・マナ・オ・テ・モアナという団体に連絡をしてみるか、ボラボラ・タートルセンターを訪れてみてはいかがでしょうか。
絶滅危惧種のウミガメ
タヒチの島々の海に生息するウミガメの数は、違法な釣り、海水汚染といった海の生息環境の破壊で年々、驚くほど減っています。ありがたいことに、現在、このすばらしい生き物を守るための取り組みを行う地元の団体がいくつかあります。
島の漁師たちもウミガメの産卵地を守るために、保護団体と密接に協力し合っています。ビーチをきれいにする活動では、ウミガメの孵化の障害となる特にプラスチックのゴミや漂流物をなくそうとしています。テ・マナ・オ・テ・モアナという団体は、一般向けの啓発キャンペーンや教育プロジェクトを実施して、美しいウミガメの危機について伝えています。また、この団体はタヒチ島を拠点にしており、傷ついたウミガメを治療して、自然環境に戻すクリニックを開いています。ボラボラ・タートルセンターは、タヒチの海に生息するウミガメのケアと保護に取り組んでいます。